その年、異常な事件が多発した。

イジメを行った本人が、自分がしてきたことを、されたこととして遺書を書き、自殺した少年……。有名ミュージシャンとの秘密の恋愛に疲れたという妄想から、ノート3冊分の告白を残して自殺した少女……。こうした少年少女の自殺が73件も報告された。

どう調べても自殺者同士に関連はないが、唯一彼らに共通していたのは、強烈な「歪んだ妄想」を遺していることだった。

こうした現象について、あるコメンテイターはこう答えた。
「彼ら自殺者の妄想は、荒唐無稽なようでいて、不気味なほど生理的で圧倒される説得力がある。バロックだ。」

バロック−−−はるか昔に流行した、壮大で華麗な様式を、現代の自殺者の物語に見立てた言葉が、新聞記事の見出しとして踊った。
バロックは爆発的に広がっていった。動機が意味不明の犯罪は、すべて「バロック型」として括られるようになった。

そして、バロックを商売にする人間が現れた……。


「バロックシンドローム」

「バロックシンドローム」は、「バロック前史」を描いた小説「BAROQUISM▲SYNDROME」(原作:清水マリコ/原作連載:セガサターンマガジン)を基にしている。

プレイヤーはバロックに取りつかれた人々を、彼らが望む妄想を創ることで癒す新しい商売「バロック屋」となって物語を進めていく。

インパクトあるグラフィックスと現代社会を投影するキャラクターたちの存在感を余すことなく描いた、新感覚の非現実ビジュアルノベルである。



バロックとは?

ポルトガル語のBARROCO(ゆがんだ真珠という意味)を語源にもつ言葉。

17世紀から18世紀にかけて、ルネッサンス後のヨーロッパに流行した様式。壮大な構想と細部にわたる過剰な装飾技巧が特色。古典美と対立する、その不調和・過剰さを軽蔑するニュアンスで使われたらしい。だが、大熱波前後の崩壊した世界で使われたこの言葉は違った意味を持っていた。

それは、歪んだ妄想。

崩壊し荒れ果てた世界では、人はより多くの妄想にすがらなければ生きる意志を持つことができなくなっていた。

人々はバロックを抱えて、生き抜いているのだ。

「バロック〜歪んだ妄想〜」

プレイステーション・セガサターンで好評を博した新世代3D・RPG「バロック〜歪んだ妄想〜」のストーリーは、大熱波と呼ばれる惨事により崩壊、歪んでしまった世界で展開する。

ゲームのメイン舞台となる神経塔をは、プレイヤーが侵入するたびに構造が変化する歪んだ空間。プレイヤーは記憶喪失の主人公となり、異形と呼ばれる敵たちと戦いながら神経塔に潜り続ける…。

バロック前史

 大熱波が起こる以前の世界…。

奇怪な事件が増加していた。残酷な殺人事件が多発し、発生件数は減ることがなかった。動機や殺害方法が理解しがたいモノばかりで、バロック型犯罪、バロックマーダーなどという言葉が流行した。

異形と呼ばれる者が現れ、人を食い殺す事件も発生した。徐々に増えて行った異形のため、異形殺戮部隊が正式に結成されたのは、大熱波が起こる年のはじめだった。

偽装翼をつけて、自分たちを天使だと名乗る奇妙な宗教団体も話題になった。彼らは神の技術を手に入れたと宣言したが、それがいったい何だったのかはわからずじまいだった。

「バロックシューティング」

「バロックシューティング」は、「バロック」を元に制作されたWin95/98用の縦スクロールシューティングゲーム。ショット+ボンバー型で、自機は天使虫リトル。

無料体験版ダウンロードあり。